「梨下に冠を正さず」という故事があります。

梨の木の下でずれた冠を直そうとすると梨を盗んでいるように見えることから,疑われるような行為はすべきでないという訓戒を含んだ故事で,古楽府(中国の古い楽譜)の君子行という漢詩集に収録されているそうです。

以前私の息子が,某スーパーの雑誌売り場で,紐がほどけてバラバラになっている月刊誌を見つけて元通りにしようとしたところ付録泥棒と間違えられ,見知らぬ親子に咎められるという事件?がありましたが,これなどがまさにこの故事の言わんとしていることかなと思います。

私は昔からこの言葉が好きで,色んな場面で思い出すのですが,なんと!先日覚え間違いをしていることが判明しました。

ここまでで既に「あ,この人間違ってるな」とお気づきの方もおられたかもしれませんが,文頭の「リカ」は「梨の下」と書くのではなく「李(すもも)の下」なんですね。

ネットの記事をななめ読みしていた時にふと気がつき,確かめるために色んなサイトを見て回ったところ,間違いなく「李」でした。

でもけっこう「梨」だと思っている人もいました。(←負け惜しみ?)

ちょっと…いやかなりショックです。

今までどれだけの人に偉そうに「梨の木の下で,梨の木の下で」と説明したことか…。

真に受けてしまった方,すみません,スモモですので…。

いやはや,長い間自信を持ってきたことでも,時には疑ってみることも必要ですね。

そして素直に間違いを認めて素早く正していかないといけないなとしみじみ思いました。

ちなみにその故事は「瓜の畑の中でぬげた靴を履きなおすと瓜泥棒に間違われる…」という同じ意味を持つ言葉が前にあり,「瓜田(かでん)に履(くつ)を納(い)れず,李下に冠を正さず」と続きます。

英語圏にも似たような言葉ありました。

「He that will do no ill, must do nothing that belongs thereto.」

悪事をすまいと思う人は,悪事と思われることをしてはいけない。

なるほどですね~。

以上,雑学好きの道祖でした。

by:Saya